【ロゴマーク豆事典】
武将の文様は企業のマークのルーツ
戦国時代の武将の家紋は企業の社章やマークのルーツともいえます。
家紋は、武将とその軍勢のアイデンティティとして自己を主張し、戦場において戦意を高め、相手を威圧するシンボル・デザインとして、旗や幟などの旗指物、陣羽織や小袖、能などの衣裳、兜や刀の鍔などの武具、燻革(くすべ)や武具の接続部分の釘隠し、文箱や蒔絵などに用いられていました。
同じに敵味方が入り乱れて戦う戦場で、同士討ちを避けるため、敵味方を区別する印でもありました。
「風林火山」を思わせる黒澤明の映画「乱」では、赤、青、黄など3原色を使った旗や幟で、軍勢の攻守の動きを観客にわかりやすく映像で示して、まるで武家文様のカラーデザインマニュアルのように取り入れられていました。
武家文様のデザインソースの多くは花鳥風月などの自然や和の文様から取られた、完成度の高い当時のロゴマークといえます。
たとえば、自然の植物からは、秋草、菊、桔梗、竜胆、萩、薄、野菜など、徳川家の寒葵は有名です。
樹木では、桜、梅、竹、松、杉、柏、桐などがあります。
生物では、花蝶、亀甲、鷹、水鳥、勝虫(蜻蛉)。
自然現象からは、雲(飛雲)、波、雪などのイメージをひろげて、雲竜、唐獅子、鳳凰など。さらに抽象化された美学として、井桁、桝目、巴、卍、菱、渦、結びなど。伊達正宗の家紋の派手さや色鮮やかさは、敵を威圧する上でも威力を発揮、現代的な感覚にあふれたロゴマークといえます。
すでにこの時代に日本文化としてのすばらしいロゴマークの手本がありました。
当時でも、「留め柄」といって、大名家などで使う文様を統一して、他には使わせない、いまで言う意匠登録のような制度がありました。